聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 あたしの頭の横に肘をつき、息が掛かるほど近付く。


 またキスされかねない近さに、あたしは全身で身構える。

 そんな状態で日生は続きを言った。


「こうやってまた会えるなんて運命的だよな? ……俺、本気になりそう」

「ほ、ほほ本気って……?」

 一応、聞いてみる。


「本気でお前のこと好きになりそうだっつってんだよ」

 日生はそう告げると、またキスしてこようと顔をずらし近づけてきた。


「い――」

 バタン!

 『嫌だ!』と叫ぼうとしたら、トイレのドアが勢い良く開いた。

 ドアを開けたのは、息を切らした黒斗だ。


「黒斗!」

 あたしは黒斗が来てくれたことが嬉しくて、黒斗の登場に驚いている日生を突き飛ばして彼の元へ駆け寄った。


 黒斗は、胸に飛び込むように抱きついたあたしを受け止めてくれる。

 そしてぎゅぅっと抱きしめてくれた。


「お前、遅いから……おかしいと思って……。ジュエル専用のトイレにいなかったし……、俺、探しまわって……」

 息を切らしながら黒斗は話した。

 あたしはうんうんと頷く。