聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 言葉を詰まらせたあたしに、日生は「やっぱりな」と呟く。

「だからこういう方法取ったんだよ」


 そう言った日生に反論出来ないのが悔しい。

 明らかに今回のは日生が悪いのに……。



「じゃあ、ソレとは別に! 何で海で会ったときキスなんかしたの!?」

 他に日生を追い詰める要素が欲しくて、あたしは前の話を持ち出した。


「あのとき言ったじゃん。報酬だって」

「報酬だとしても普通彼氏いる前であんなことしないでしょう!?」

 そうだ、それに普通なら会ったばかりの相手にキスなんてしない。

 あたしは“ちゃんと答えろ”と言わんばかりに日生を睨み付けた。

「……お前が可愛かったから、じゃ理由になんねぇ?」


「……は?」


「ちっさくて可愛いと思った女に彼氏がいたから、悔しくてついキスした。そーゆーこと」


 日生の答えに、あたしは何と言えばいいのか分からず目を丸くして口を閉じた。



 え? どういうこと?

 あたしのこと可愛いって思ったからキスした?

 それってつまり……?


「もう会うことも無いだろうと思ってたから、思い出にしとこうと思ったんだけど……」

 と、そこで意味ありげに言葉を切った日生は目を細めてまたあたしに顔を近づけた。