聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「……やっぱりこないだの女だったんだな」

 日生はぽつりと呟いた。

 そしてあたしの泣き顔に視線を戻し、申し訳なさそうに囁く。


「ゴメン、だから泣くなよ……」

 そう言って腕を離し股の間から膝を抜いた。


 そんな日生の弱気な態度に、あたしの強気が少し戻ってくる。

 あたしは泣きながらも怒りに任せてその頬をひっぱたいた。

 バシィン!!


「っいってー!?」

「うっさい! あたしの手のひらだって痛いんだ!」

 痛がって“何するんだ”とでも言いそうな表情の日生に、あたしは畳み掛けるように怒鳴る。

「何てことしてくれるのよ!? 海のときだって彼氏いるって分かっててキスしてくるし、今なんかこんなっ……何のつもりよ!?」

「何のつもりって……」

 あたしの勢いに押されながらも日生は答える。


「お前が男か女か確かめたんじゃねぇか」

「こんな方法取らなくたっていいでしょう!?」

「……じゃあ、普通に聞いて答えてくれたか?」

 その冷静な質問には言葉を詰まらせた。



 この学園の中で、あたしが女だと言うことは他の生徒にはバレるわけには行かない。

 本当のことを言うはずが無いんだ……。