聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 腕の代わりに自由になった口で助けを呼ぼうとしたら、今度は手のひらではなく口で押さえつけられる。

「ふっんんぅ!?」

 腕を頭の上で一まとめにされ、日生は余った片手でもう一度シャツのボタンを外し始めた。


 途中まで外すと、今度は鎖骨の辺りに触れ探るように下に下ろしていく。

 そしてベストに気付くと、そのファスナーに手を掛けた。


「んうぅーーー!」

 嫌!

 ダメ!!


 いっそ股間を蹴ってしまおうかと思って、片足を僅かに上げたら股の間に膝を入れられる。

 これでもう完全に身動きが取れなくなった。

 それどころか、僅かに開いていた唇の隙間を無理矢理押し広げ、舌が入れられる。


 嫌ぁ……。

 黒斗以外の男にディープキスされるなんて……。


 恐怖と嫌悪が一緒くたになって涙が滲む。

 息苦しさも手伝って、雫が零れた……。


 黒斗……助けてぇ……。


 思いは無常にも届かず、ついにファスナーも途中まで下ろされその中を検(あらた)められる。

 唇を離して胸をまじまじと見られた。



 口が自由にはなったけど、嗚咽で叫ぶことが出来ない。