「はい?」

 反射的にあたしは返事をする。


「あ、友」

 ドア越しに聞こえた声は黒斗のものだ。


「黒斗? 授業は? 試合してたんじゃ……?」

「丁度さっき交替したよ。それよりさ、友タオル持ってたか? 着替えるにしても体拭かないと風邪引くだろ?」

「あ、持ってない」

「そっか、じゃあ丁度良かったな。俺の貸してやろうと思って持ってきたんだ」


 その言葉を聞いて、ジーンと来る。

 黒斗優しい……。


「じゃあ入るぞ」

 そう言って黒斗が少しドアを開いた所で、あたしは今の状況に気付き、叫んだ。


「ストップ!!」

 ピタッと横開きのドアが止まる。


 ……カギ、閉めるの忘れてた……。


 今のあたしは半裸状態。
 だって、ベストの下は何も着ていなかったから。


 マズイ……この状況は非常にマズイ!


「何だよ友。見られちゃマズイものでもあるのか?」


 有りますー!


 心の中で叫ぶ。
 それが何かと聞かれたら困るので、口には出さない。


 せ、せめて何かで隠してから!?


 そう思って適当なものを探していると、鼻がムズムズしてきた。