あたし達はロッカーに入れた荷物を出すと、そのままホテルへと戻った。


 ホテルで水着に着替えてそのまま海水浴に出る人もいるから、入り口の所で砂を洗い流せばそのままホテル内に戻ってもいいみたい。

 だからあたし達もそうして自分達の部屋に戻る。


 部屋に行くまで、黒斗は何も話してくれない。


 やっぱり、怒ってる……。


 そりゃそうだ。

 目の前で他の男とキスしてるの見せられたんだから……。


 不可抗力だって、本当はイヤだったんだって言わないと。


 そうは思っていても、無言の黒斗の背中が怖くて何も言えないでいた。


 部屋に入りドアを閉めると、オートロックでカギが閉まる音がする。

 その音を聞いた直後、黒斗があたしの体を抱き寄せてキスをした。

「んんぅ!」


 突然のことであたしは驚く。

 それに、そのキスは乱暴なもので……怖かった。


「んっやっ! くろっ……とぉ」


 押し返そうとするけど、ビクともしない。

 それどころか、あたしが暴れるのを押さえつけるかのようにベッドに押し倒された。