「ほらそこ危ねえから、掴まれ」

「あ、うん」

 そうして差し出された手を掴むと、ぐいっと引っ張られる。

「うわっとっと!」


 ドン!


 予想外の力でバランスを崩したあたしは男の子にぶつかった。

 そんなあたしを彼はふらつきもせずに受け止める。


 細っこくみえても男の子なんだなー。


「……あんた、ちっせぇな……」

 あたしを受け止めた状態で男の子がボソッと呟く。

 あたしは慌てて離れながら話し出した。

「あはは、やっぱり? よく言われるんだよね。そんなにチビかな?」

「いや、チビってわけじゃなくて……」

 男の子はそこで一端言葉を切り、フッと笑った。


「あんた、可愛いな」


「え?」

「友!」

 突如、あたしを呼ぶ声が聞こえた。

 黒斗だ。

 弾かれたように声の方を見ると、確かに黒斗の姿が見える。
 こっちに向かってきていた。


「あ、黒斗! こっち!」

 あたしは腕を振りながらそう声を上げる。


 良かった、合流出来て。