聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「あれ? あんた誰?」

 あたしに気付いた男の子はそう聞いてきた。


 いや、誰と聞かれても……。


「あなたこそ誰?」

あたしは聞き返す。


 茶色い髪は男にしては長めのショートカット。

 成長途中な体から見ても歳はあたしとあまり変わり無いと思う。

 そしてその顔立ちはどちらかと言うと可愛らしい。

 女装とかすれば本当に女に見えると思う。


「俺は地元民。あんた海水浴客か?」

「え? あ、うん」

「じゃあ砂浜の方に戻った方がいいぜ? この岩場入り組んでるから慣れてねぇやつには危ない」

「そうなんだ」


 でもどうしよう……。黒斗どこにいるか分からないし……。


「どうした? 戻り方わかんねぇの?」

 この場から動こうとしないあたしを見て、男の子が聞いてくる。


「あ、ううん。連れとここではぐれちゃったから、どうしたものかと……」

 あはは、と誤魔化すように笑った。

 すると男の子は突然あたしの腕を掴んで引っ張る。


「来いよ。探しやすいトコに連れてってやる」

「え? あ、ありがとう」


 あたしは少し驚いて、目を丸くしながらも男の子について行った。