聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~




 そうしてしばらく海で二人で遊ぶ。

 恋人同士らしく浅瀬で海水をかけあったり、少し深いところまで泳いでみたり。


 ほとんどベタなことしかして無いけど、黒斗と二人きりだからか新鮮な感じがした。



 途中遅いお昼ご飯を海の家で食べて、また海辺に行く。

 今度はあんまりはしゃがず、辺りを歩いて散策してみた。



「こっちの岩場、面白いね」

 砂浜から少し離れた岩場を歩いているときそう話しかけた。

 でも、返事が返ってこない。

「あれ?」

 この岩場はかなり入り組んでて、ちょっと下に下りるとあたしの姿なんてすぐ見えなくなってしまう。


 もしかして――。

「はぐれちゃった……かな?」


 どうしよ~……。

 とにかく呼んでみよう。


「くろ――」

 ザッ


 あたしが黒斗の名前を呼ぼうとしたとき、何者かが岩の上から降ってきた。


 一瞬黒斗かと思ったけど違った。

 その人影は明らかに黒斗より小さい。
 でも、あたしよりは大きい男の子だ。