聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 黒斗はすぐあたしに気付いてくれたけど、何故か目を少し丸くして黙っていた。


「ちょっと黒斗? どうしたの?」

 そう聞きながら黒斗の顔を下から覗きこむと、いきなり抱きしめられる。

「うきゃあ!?」


 今は水着だから肌が直接触れる。

 あたしは直に黒斗の体温を感じてスッゴク恥ずかしかった。


 その耳元で黒斗は「はあぁ……」と深いため息をつく。

「友……お前可愛すぎ……」

「はい!?」

「独り占めしてぇ……」

 へぇい!?

 そんなこと言われても!?


 そんな風にあたしが動揺していると、黒斗は少し離れ顔を直接見て言った。

「お前、そのパーカー着てろ。じゃなきゃ襲う」

「は?」

「そんな格好、他のやつにあんまり見せたくねぇんだよ」

 だから着ろ、今すぐ着ろ! と急かされた。


 仕方ないなぁとパーカーを羽織ると、しっかり前も留められる。


 これ、水着に着替えた意味は……?


 そう思って呆れるあたし。

 でも、黒斗は満足そうだった。


「んじゃあとりあえず海行くか」

 と笑顔であたしの手を引いていく。

 あたしは苦笑混じりの笑顔でそれについて行った。