黒斗と二人きりになるのは久しぶりで、最初は少し緊張してたけど新幹線の中で色々話していたらそうでもなくなった。
新幹線を降りて駅前からバスに乗る。
一番混む時期は過ぎたとはいえ、道路は混雑していてホテルには予想より15分ほど遅れて到着した。
部屋に案内されて真っ先に見たのは窓の外。
すぐ近くが海だから潮の匂いがする。
風がちょっと強いけど、天気のいい今日は水平線までよく見えた。
空の青と海の青の境目。
こっちは西側だから、夕日とか綺麗なんだろうな……。
お小遣いとか貯金とか、かなり使っちゃったけど来て良かったな……。
「こーら」
と、突然黒斗があたしの頭を軽く叩いた。
「何一人で浸ってんだよ? 荷物整理して海行くぞ海!」
「はーい」
子供みたいな笑顔で言う黒斗に苦笑しつつ、あたしは了解の返事をして海に行く準備をした。
海水浴場はホテルを出て道路をはさんだすぐそこにある。
着替える場所や、海の家、他にも屋台がいくつか見える。
浜辺は混雑はしていなかったけど、思った以上には人がいた。



