「あんたの進学先、変えといたから」


 中学生活も終わり、合格した高校への準備をしながら休みを満喫していたある日、お母さんがそんなことを言い出した。

「なにそれ? 何の冗談?」
 と、当然聞き返すあたし。

 でも、聞き返しながら冗談では無い事は分かっていた。
 お母さんは、結構とんでもない事を良く言い出す。


 実はお母さん、とある芸能事務所の社長をしているんだけど、そこのタレントによく非常識な指令を出すらしい。

 同じ感じで、あたしにも指令を出す。


 
 小さい頃にも子役タレントが足りないからって、無理矢理出されたこともあった。



 だから冗談ではない事は予想できた。

 『冗談?』って聞いたのは、ただ単にあたしが信じたくないから……。


 中学の頃の友達と同じ高校に進学した。
 レベルはそんなに高いわけじゃないから、受験勉強も死に物狂いってほどやったわけじゃない。

 だから『あんなに勉強したのに!』なんてことは思わないけど、友達と離れるのは寂しいし不安だ。


 でも、あたしのそんな思いは案の定ぶった切られる。

「本気に決まってるでしょう?」