旅行は海に決定した。


 新幹線で小一時間、バスで20分くらいで着く場所。


 あたしは山でも良かったんだけど、黒斗がどうしてもあたしの水着姿見たいって言うから……。




 そんなわけで夏休みに入ると、あたしは久しぶりに家に帰って準備をした。


「水着って、やっぱりビキニの方が良いのかな……?」

「は? いきなり何言ってるの?」


 夕食中ぽつりと呟いた言葉に、お母さんが聞き返してきた。



 ちなみにお父さんはいつも仕事で遅くなるから夕飯は別。


「んー、いやね。夏休み中に一泊で海に行く事になってるんだけど、やっぱりビキニの方が良いのかなーって」

 せっかくだからお母さんに相談することにした。

 そうしたらお母さんは意味有り気にニンマリと微笑む。


「一泊って……男と?」

「ぅぐふっ!?」

 丁度お味噌汁をすすっていたあたしはゲホゲホとむせる。



「あーやっぱりそうなんだ? やるわねー黒斗くん」

 お母さんはそう言うと、煮物のじゃがいもを口に運んだ。


「なっゲホッ、何で黒斗のこと知ってっ」

 あたしはむせながらも何とか聞く。