「あーもう少しで夏休みだねー」

 夕食後、雪さんがダルそうに呟いた。




 体育祭もとうに終わり、期末テストもあっという間に終わった。

 あとは夏休みが来るのを待つだけといった暑い夏の夜。



 雪さんの言葉にあたしは何気なく聞いてみた。

「先輩達は夏休みの予定って何かあるんですか?」

 するとやっぱりダルそうにあたしの方を見た雪さんが答える。


「何かも何も……レッスンやら何やらでヒマな日一日だってないわよ」
 

 それに続いて怜さんもあたしの方を見る。

「私も同じく」


 二人の言葉に「大変ですねー」とありきたりな返事をしていると、突然辰也先輩が叫んだ。


「えー!? 何だよソレ!?」

 一気に皆の視線が辰也先輩に集まる。


「俺とのデートは!? 旅行は!?」

 自分の席を立って雪さんに詰め寄っている。

 雪さんはウザそうに「何言ってんの」と返していた。


「あんただって今年受験でしょう? 遊んでるヒマ無いじゃない」

「うぐっ」