「女は生理中子宮内の粘膜が弱くなってるから傷つきやすいんだぜ?」

「へぇ~そうなんだ」

 初めて知った。


「他にも色々理由はあるけど、生理中はしない方が無難だな」


 ……何だか保健の授業になってる気がする……。


「前から思ってたけどさ、黒斗そんな知識どこから仕入れてんの?」

「ネットやらテレビやら本。間違った知識も多いけど結構ためになること多いぜ?」

「ふーん……」


 と、会話が終わったかと思ったら黒斗の腕にまた力が入った。

 ぎゅぅっと抱きしめられる。

「でも途中で止められて良かったぜ……。これ以上進んでたら止めるに止められなくなってた」

 あたしの頭に頬を寄せて呟かれた。

 そしてまたあたしの頭の横に顔を近づけ、至近距離で囁く。


「生理中とか、したくないときとか、ちゃんと言えよ? 俺はしたいからお前が好きなんじゃなくて、お前が好きだからしたいんだ」


 それは、あたしの体のことも考えてくれてるって事……?

 大切に、してくれてるんだ……。


 腹黒で意地悪だった黒斗に、こんなに大切に思われるなんて……。


 あたしはどうしようもなく嬉しくて、近くの黒斗の頬にキスをした。

「うん。分かった……」
 

 返事をして微笑むと、黒斗は「それじゃあ」とあたしの左手を掴んで持ち上げる。


「Hはナシでも、キスぐらいならいいだろ?」

 と言って持ち上げた左手の甲に唇を触れさせた。


 騎士が姫にする誓いのキスのように……。


 あたしの頬がまた朱に染まり、胸がドキドキしてきた。


「学園内でもお前に触れたかったのを我慢した俺に、褒美をくれないか? 姫」


 手の甲に唇を触れさせたまま。

 視線だけをあたしに向け、そう囁いた。