「ゆーう」

 甘えるように後ろから抱きつき、黒斗はそのままあたしの部屋に入ってきた。

「くっ、黒斗ぉ!?」

 黒斗はあたしの顎を掴み顔を傾け、頬に、耳に、こめかみにキスをし始めた。

「学園内ではあまりくっついていられねぇからな……ずっと我慢してたんだぜ?」

 そう言いながらシャツのボタンを一つ二つと外していく。


「くっ黒斗!? ちょっと待って!」

 言うと、ピタリと止まってくれた。

「えーっと……これって、報酬?」

 思い返してみると、今日も何度か黒斗にナイトとして助けられていた。

 これもその報酬に入るのかちょっと疑問に思ったので、首を少し動かし黒斗の顔を見て聞いてみる。


 すると黒斗は変な顔をした。

「は? 報酬?」

 何のことだ? とばかりに聞き返される。

 でもすぐに思い出したのか「ああ」と呟いた。


「そういえばそんな勝負してたっけ」

「忘れてたの!?」

 思わずあたしは突っ込む。

 つい最近まで報酬と称して散々あたしの体に触れてきていたのに!


「忘れてたっつーか……あー、うん。忘れてた」

 否定しようとしてすぐに肯定する黒斗。

 あたしはその変わり身の早さに呆気に取られ、微妙な表情で黒斗を見つめる。