「は? んだとぉ!?」
そう怒鳴って、黒斗は足を止め振り返った。
その瞬間、あたしは最後の力を振り絞って走る。
そんなあたしに気付いた黒斗はまた走り出そうとしたけどもう遅い。
あたしはしっかりと黒斗の制服の裾(すそ)を掴んだ。
ドシャ!
バランスを崩したあたし達は、一緒になってその場に倒れた。
「いってぇ……」
そう呻く黒斗を逃がすまいと、あたしは黒斗の上に圧し掛かって襟元を掴みあげる。
「黒……ゴホッ、伝っゲホッ!」
でも、極限まで酷使(こくし)した肺と心臓が、話をすることもままならなくさせた。
伝えたいことがあるのに。
早く言わないと、また黒斗に逃げられてしまう。
なのにそう思えば思うほど、喉から出るのは酸素を求める呼吸の音。
走っている途中で治まった涙が、苦しさと悔しさでまた流れてきた。
「だー分かった! 待っててやるからまずは息を整えろ!」
そんなあたしを見かねてか、黒斗が折れた。
だからあたしはとりあえず息を整える。
でも襟元を掴む手は緩めない。
絶対に逃がさないという意志を込めて……。
そう怒鳴って、黒斗は足を止め振り返った。
その瞬間、あたしは最後の力を振り絞って走る。
そんなあたしに気付いた黒斗はまた走り出そうとしたけどもう遅い。
あたしはしっかりと黒斗の制服の裾(すそ)を掴んだ。
ドシャ!
バランスを崩したあたし達は、一緒になってその場に倒れた。
「いってぇ……」
そう呻く黒斗を逃がすまいと、あたしは黒斗の上に圧し掛かって襟元を掴みあげる。
「黒……ゴホッ、伝っゲホッ!」
でも、極限まで酷使(こくし)した肺と心臓が、話をすることもままならなくさせた。
伝えたいことがあるのに。
早く言わないと、また黒斗に逃げられてしまう。
なのにそう思えば思うほど、喉から出るのは酸素を求める呼吸の音。
走っている途中で治まった涙が、苦しさと悔しさでまた流れてきた。
「だー分かった! 待っててやるからまずは息を整えろ!」
そんなあたしを見かねてか、黒斗が折れた。
だからあたしはとりあえず息を整える。
でも襟元を掴む手は緩めない。
絶対に逃がさないという意志を込めて……。



