黒斗のバカ!
言わなきゃいけない。
伝えなきゃいけない。
自分の殻に閉じこもっているだけのあのバカに。
だからあたしは走った。
泣きながらで凄く苦しかったけど、黒斗を目指して走った。
追いかけてきたあたしに気付いた黒斗は、何故か逃げた。
ちょっ!?
「なん……逃げ…のよ!」
息切れしながらで叫んだため途中の言葉が切れた。
でも何とか意味は伝わったらしい。
黒斗は走りながら振り返り、叫んだ。
「てめぇこそ何で追いかけてきてるんだよ!?」
「くろ……に、伝え……」
あたしはそこまで言って諦めた。
とにかく黒斗を捕まえることに集中する。
足の速い黒斗に追いつくのは本当なら無理なことだった。
でも、少なくとも距離は開かない。
あたしはそれだけ必死に走ってた。
黒斗を追って必死に走ってたから、どこをどう来たのか分からない。
あたし達は、いつの間にか何処かの野原に来ていた。
これ以上は……無理……。
あたしは体力の限界にきていた。
このままだと黒斗に逃げられてしまう。
あたしは一度足を止めて、思いっきり叫んだ。
「黒斗の! バカァ!!」



