「ちょっ、ちょっと待って黒斗!」

 呼び止めたあたしに黒斗は「何だよ?」とそっけない態度で視線を向けた。


 あたしはそのそっけなさに少し傷つきながらも、しっかりとした口調で伝える。

「この体育祭が終わったら話したいことがあるの」

 了解の言葉しか認めないというかのように、あたしは黒斗を睨んだ。


 それが伝わったのか、黒斗は諦めのため息をつく。

「分かったよ。終わったらな」


 そう言って黒斗は田代先輩の体を肩に掛け引きずっていった。

 良かった。

 これで少なくとも話し合う機会は作れた。


 あとはきっと、あたし次第……。



 その後席に戻ったあたしは、雪さんや怜さんにこってり絞られながらも、この後黒斗と話し合う内容のことしか考えていなかった。