「停学中もさぁ、ブルートパーズの肌とか忘れられなかったんだ……。やっと停学期間が終わって登校したらこの体育祭だろ?」

 抱きしめている田代先輩の手が、あたしの体を撫で回し胸の上にきた。

「そこでこんなまんま女みたいな格好見せられたら、押さえきかねぇってもんだ……」

 あたしは、恐怖で声が出ない。

「今度こそ退学処分になったっていい……。だからお願いだ、ヤらせてくれよ……」

 そうして耳を舐められた。


「ぃやあ!」

 そこでやっと声が出てあたしは暴れた。

 でもやっぱり男の力には敵わない。


「暴れんなよ! 俺より力ねぇクセに! ……にしても、何詰めてるか知らねぇけどこの胸良く出来てるなぁ……」

 と、胸をわし掴まれた。

「っっっっ!!???」


「やわらけぇ……本物みたいだ……」


 本物だボケェーーー!

 離せーーー!!


 何とかその言葉は飲み込んだものの、このままではバレるのも時間の問題だった。


 あぁ……雪さんが言ったとおり誰か連れてくればよかった……。


 と、今更後悔しても遅い。


 せめて腕を外せれば……。


 そう思ってもう一度暴れたけどびくともしない。


 こうなったら――!


「ぎゃーーーーー! 誰かぁー!」

 あたしは思いっきり叫んだ。

 この場に人はいなくても、すぐそこの角を回れば大勢がいるグラウンド。

 誰か一人くらいには聞こえるはずだ。