「っぷっはぁー! 生き返るー!」


 水道の水をゴクゴクと飲み下し、あたしは一息ついた。


「動いた後の水は格別だわ」

 ご機嫌にそう言いながら蛇口を閉める。


 グラウンドの方ではもう次の種目が始まっているのか、賑やかな声が聞こえてきた。

 そのせいかこの水飲み場には全く人がいない。


 とはいえ、角を一つ曲がればすぐグラウンドだし、そんな大したことは起こらないだろうと思っていた。


 なのに……。

「わあ!?」

 突然背後に気配を感じたと思ったら、いきなり抱きしめられた。

「だ、誰!?」


 叫ぶと、耳元で聞き覚えのある声がする。

 以前も同じような格好で囁かれた。

 出来るなら、思い出したくない声……。


「俺だよ、久しぶり……ブルートパーズ……」


 その瞬間恐怖が蘇った。



 田代 雅紀先輩……。



 以前あたしに告白して、振られたからって犯そうとした人。


 停学処分になったはずだけど……期間、終えたの?