それぞれが位置につくと、吹奏楽部の演奏が始まる。


 明るくテンポのいい曲。

 何度も練習した。

 あとは体が覚えてる。


 さあ、リズムに合わせて……。


 腕を。

 足を。

 体全体を動かした――。



「成功ーーー!」

 演技が終わり退場すると、雪さんが怜さんとあたしに抱きついてきた。

「友、あんた全然大丈夫だったじゃない」

「ホントに、心配すること無かったわね」

 二人の言葉に、あたしは照れながらもお礼を言った。


「二人の励ましのおかげですよ」

 真面目に言うのは照れくさいから、ちょっと冗談交じりに。


「ふふん、言うじゃない」

 雪さんもそれに合わせて冗談っぽく言ってくれた。


「あ、あたし水飲んできます。用意してた水無くなっちゃって」

 元の席に戻る途中、あたしはそう言って二人から離れた。

「ちょっと! なら誰かナイト連れて行きなさい!」

「大丈夫です、すぐに戻りますから!」

 あたしはそうして雪さんの言葉も聞かず走っていった。