「俺のことが知りたいんなら……お前が、俺のトコまで堕ちて来いよ」




 そう言い終えると、黒斗は部屋を出て行った。


 乱れたベッドに一人取り残されたあたしは、自分の心境に戸惑いを感じていた。



 こんな風に無理矢理されて……怖かった……。


 でも、嫌じゃなかった。


 いやだいやだとは言っていたけど、それはあくまで恐怖からきた言葉で……黒斗自身が嫌だったわけじゃない。


 嫌じゃなかったから、感じたの……。


「っ、ははっ……あたしっ、バカだ」


 バカだ。

 ここまでされてやっと気付くなんて。


「いつの間にか、好きになってたんだ……」



 そうだ。

 高志にはキスされただけで拒みそうになったのに……黒斗にはキスされても、キスマークつけられても嫌じゃなくなってた。


 あたしは、黒斗をいつの間にか受け入れてたんだ……。




 それと同時に気付く。


 黒斗が、あたしに心をくれることは無いということに……。