「そういやあさ、お披露目もうすぐだろ? お前ナイト決まったのか?」

 それはあたしに対する質問だったから、あたしは怒りを抑えて答えるしかなかった。


「ああ、うん。まだ決めてない」

「おいおい。流石にそろそろ決めなきゃヤバイだろ?」

 心配そうに聞いてくる弘樹に、あたしは笑って答える。


「大丈夫だって。なんとかなるよ」

「お前楽観的すぎ……」
 と、弘樹はため息をついて黙った。


 それと入れ違いに高志が会話に入る。

「何ならオレがなってやるぜ?」


「結構だ!!」

 当然、あたしは即答した。


 

「友~?」

 あたしの怒鳴り声のすぐ後に、教室の入り口の方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。


 声に導かれるようにそっちを見ると、何だか凄い事になっていた。


 そこだけぽっかり穴が空いたかのように人垣が出来ていて、その中心にはジュエル二人とそのナイト二人。

 ナイトもそろってイケメンだから、そこだけまさに異空間。

 その異空間の住人の一人……もとい、雪さんがあたしを見つけてもう一度呼んだ。


「あ、いたいた。友、帰るぞ?」

「は、はい!」

 
 あたしはその異空間に入るのを少しためらう。
 でも、ナイトのいないあたしは彼らと一緒に帰らなければならないと決まっているから、仕方なく雪さんに従った。


「それじゃあ皆、また明日」

 片手を上げて三人にそう言うと、あたしは雪さん達の元に小走りで行った。



 そうして、あたしという異物が入りながらも、その異空間クレーターは学園を出るまで続いていたのだった……。