「傷つくねぇ……。どうせ高志の想いには応えてやれないんだから、さっさと拒んじまえばいいじゃねぇか」

「そんなこと出来ないよ……それに、高志は今はこのままでいいって言ってるし……」


「だとしても拒めよ。お前をいたぶっていいのは俺だけだって言っただろ?」

「高志はあたしをいたぶってるわけじゃない!」

 あたしは黒斗のあまりな言い分に怒って、抱きしめている腕を振り払った。


「どうだか」

「っ! ……高志はそういうことするやつじゃない! 見てれば分かるでしょ!?」


「分かんねぇよ」

 その言葉に、あたしはカッとなって叫んだ。

「分かるよ! 何で黒斗は友達を信じられないの!? 由理香ちゃんにはあんな笑顔見せてたのに!」


「……何だって?」

 黒斗の雰囲気が変わった。


 でも、怒りで我を忘れていたあたしは気にせず叫ぶ。

「心を許してる、信頼してる笑顔見せてた! 家族だからなのかもしれないけど、ちゃんと人を信頼出来るんじゃない! なのに何で他の人は信用しようとすらしないのよ!!」


 そこまで叫ぶと、黒斗はあたしの腕を掴んだ。

「やだ! 離して!!」

 そしてそのまま引きずられ、ベッドに押し倒される。

 腕を頭の上で一まとめにされ、黒斗と目が合った。


 冷たく、暗い目。


 今まで垣間見たものの中で、一番深い闇色の目……。


 その瞬間、あたしは凍りついたように言葉を失った。