高志に引き寄せられたあたしは、次の瞬間唇を重ね合わせていた。


「――っ!!」

 カシャ


 最後の撮影音がやけに遠くに聞こえる。


 唇を離した高志は、すまなそうに微笑んでいる。


「ごめん……でも、記念にしておきたかったんだ……。あ、もちろん今のやつは誰にも見せねぇから!」

「……そういう問題じゃないんだけど……」

 ジトッと睨みつけるあたしに、高志は慌てて手を合わせもう一度謝った。


「ホンットごめん!!」

 その様子を見ると、ここで許さなければ土下座までしそうだった。


「あーもういいよ! でも、ホントに誰にも見せるなよ?」

「ああ! それはもちろん!」


 あたしが怒らないのを知って、安心する高志。



 ったく……仕方ないなぁー……。


 でも、さっきのキスはホントびっくりした。

 思わず嫌! って叫んで突き飛ばしてしまうかと思った……。


 やっぱりあたし、高志のこと友達としか思ってないんだな……。


 ホント、ごめんね……高志。




 そのあと高志は、出来上がったプリクラを備え付けてあったハサミで半分に切った。

 その半分をあたしに渡す。


「嫌なら捨ててもいいからさ、一応持ってってくれよ」

「……分かった」


 正直貰っても処分に困る。

 けど、高志が寂しそうに微笑むから、あたしは思わず受け取った。