「あれ? 弘樹の奴何処行った?」

 不意に、高志がそう言って周囲を見回した。


 本当だ、見当たらない。

「はぐれたかな? 仕方ない。とりあえず皆入り口付近で合流しよう」

 そう言ってあたしは連絡を取り合うために携帯を取り出す。

 そして携帯を開こうとしたとき、高志がいきなり腕を引っ張った。


「え!? 高志!?」

 聞いても返事は返ってこない。


 あたしはそのままプリクラの台が多数置いてある場所に連れてこられ、その中の一つに入った。


「高志、いきなりどうし――!?」

 高志は、問い詰めようとしたあたしをいきなり抱きしめた。

「本当は! ……本当は、二人だけで来たかった……」

「高志……」

「でも、やっぱりいつもお前の横には黒斗がいるんだ。今日なんて、最終的には弘樹までついてきたし……」

 高志の腕が、きつくあたしを抱きしめた。


 腕の力が、高志の想いの大きさだとでも言うかのように……。



「でもさ、今偶然にだけど二人っきりになれただろ? だからさ、思い出だと思って一緒にプリクラとってくれ」

 高志はそう言って体を離し、ニカッと笑った。


 あたしは数回瞬きをしてから微笑んだ。

「それくらいなら、いいよ」


「サンキュー。あ、言い出したのオレだから、金はオレが入れるな」

「いいって、半分出すよ」

「いいから!」


 そんなやり取りをして、あたし達はプリクラを取り始めた。



 でも、最後の撮影のとき……――。

 グイッ

「え?」