店を出て弘樹たちを探していると、携帯のメール着信音が鳴った。

 黒斗からだ。

 タイトルも無いそのメールを開くと、ただ一文。


『近くの公園のベンチにいる』


 とだけあった。


 あたしはすぐにその公園に向かい、二人が座っているベンチを探し出した。


「弘樹……?」

 ベンチに座りうな垂れている弘樹に、小さく呼びかける。

 でも、返事は無い。


 黒斗を見ると、手を横に挙げ、お手上げのポーズをとっている。


 あたしはさらに弘樹に近付き、もう一度呼びかけた。

「弘樹……大丈夫か……?」


 すると、弘樹は頭を上げ、呟くように言った。

「ああ、大丈夫だよ」

 そしてあたしと黒斗の方を見る。

「もともと無理なのは分かってた。多分、もう会うことも無くて、未消化のまま終わるんだろうって……。でも、ちゃんと会って、告白する事が出来た」


 そこでニカッと弘樹が笑った。

「少なくとも俺の中で決着つけられたし、ちゃんと、いい形であの人のこと忘れられそうだ。……これも二人のおかげだよ。有り難う」


「そんな、たいした事はしてないって!」

 あたしは何だか照れてしまって、慌ててそう言った。


「そうだよ、それに俺は何もしてないし」

 黒斗がそう言うと、弘樹は笑顔で「そんなこと無い」と言った。

「ちゃんと相談に乗ってくれたじゃんか」

「まあ、それぐらいは……なぁ?」

 流石にこれには黒斗も照れたみたいで、照れくさそうに頬をぽりぽりと掻いていた。

 そうしてみんな笑いあった。

 何だか、絆が深まったって感じ。


 友情っていう絆が……。