黒斗のことは色んな意味で思うところがあるけど、今優先されるべきは弘樹のことだ。



 あたしは和さんと会えるようにお母さんに連絡を取る。

 そしたら思った以上に簡単に会えることになった。


 お母さん伝いで連絡を取り合い、明日の放課後、近くのファミリーレストランで会うことになった。



 次の日の朝、早速あたしは弘樹にそのことを伝えた。


「えっ!? もう!? って言うか今日!!??」


 ま、そりゃあ驚くよね。
 何たって昨日相談されたばっかりなんだから。


「ああ、何かオレの母親がその人のこと直接知っててさ、すぐに会えることになって……でもやっぱり今日はまずかったか? 心の準備とか……」

 ちょっと申し訳なさそうに言うあたしに、弘樹は優しく微笑んでくれた。

「いや、もしかしたら会えることも出来ないんじゃないかって思ってたから。……ありがとな、友」

 その言葉が、あたしは素直に嬉しかった。

「うん……じゃあオレ先に行って簡単に事情説明しておくから、弘樹は後から黒斗と来てくれよ」

「おう、分かった」

 弘樹はそう明るく言っていた。


 振られるのは分かりきっていたけど、弘樹には出来る限り傷つかないでいてほしい。

 そのためにもあたしは、放課後先に和さんに会いに行くんだ。