「それをこれから考えるために黒斗に部屋に来てもらったんでしょう?」

 何他人事みたいに言ってんの、とあたしはぶつくさ言う。


 黒斗はそんなあたしに、何でもないことのように「そうだったのか」なんて言った。


「何だと思ってたのよ!?」

「んー? やっと処女くれる気になったのかなーとか?」

「なっ!?」


 黒斗の台詞にあたしは顔を赤くし、頬を引きつらせた。

「んなっ! ちょっ、そんなことあるわけないでしょう!?」

 そう叫んだあたしに、黒斗はニヤリと微笑んだ。

「ざーんねん。でもその気になったらいつでも言えよ? すぐにでも奪ってやるから」

「なりません!!!」

 あたしは思い切り言い切って、肩で息をした。


 ったく、何てこと言ってんのよ黒斗の奴。

 ……って、話それちゃったじゃない。


 あたしはまだニヤニヤしている黒斗を無視して、一度深呼吸をして話を戻した。


「とにかく! 今は弘樹のことだよ。弘樹の初恋相手が男だって判明した今、弘樹に会わせてもいいものかどうかよ!」

「いいんじゃねぇの?」

 サラリと黒斗は言った。

 あまりにもあっさりした答えに、あたしはマヌケな声で聞き返す。