「絶対逃がさないんだから」

声を潜めて私はそう決意した。




森の中には道なんか無くて、闇も深いから木の枝がさっきから顔に当たる。


……イラつく。

もし逃がしたらという焦りが、枝がぶつかる痛みで苛立ちに変わっていった。


いっそ大声で怒鳴って呼びつけたい……。

ふざけるな! こそこそしてないで出てこいっての! …って……。