「お前は……」
私を見たコトハは、眉を寄せいぶかしげな表情で呟く。
私は精神を集中させ、コトハを睨んでいた。
金の髪はゆったりと巻かれ、漆黒の瞳は黒耀石の様にきらめいている。
白い肌に唇の赤が映えていた。
「お前は……クレハは何をしていたのかしら。始末しろと言っておいたのに……」
私は黙ってコトハの様子を窺(うかが)う。
「それにしても……その尋常ではない美しさ……」
そこまで言ったコトハは次の瞬間形相が変わった。
さっきまでの落ち着いた雰囲気はどこにも無く、ただ嫉妬と憎しみの炎だけをその瞳に映す。