朔夜が大丈夫だと言うなら大丈夫だ。
その自信の根拠がどこにあるのかも分からないけど、私は朔夜の言葉だけで安心できた。
「朔夜、私が血を飲めてないこと……そのせいで弱ってたこと、気付いてたんだね?」
私は朔夜に一言もそのことを言っていない。
「まあ、そうだろうなとは思ってたからな……」
朔夜は私の事、何でも知ってるんだね。
私は最後にそう思ってクスリと笑った。
そして、血を飲むために上の犬歯が伸びた。
こうやって血を飲んだことの無い私は、血の吸い方なんて知らない。
でも、吸血鬼としての本能が勝手に体を動かしていた……。