そしてフッと笑って、私の髪に口付けた。

「大丈夫だ。捕まえるなり後をつけるなりして犯人の女吸血鬼の居場所を確認したら、すぐ帰ってくる。……俺も、あまりお前と離れていたくは無いからな」

朔夜の最後の言葉に、私は赤面する。

暗に同じ気持ちだと言われて、照れた。


でもそれ以上に嬉しかった。


こんなにも想いを通わせる事の出来る相手と共にいられるのは、とても幸せなことだから……。



「じゃあ今度こそ本当に行くからな」

名残惜しげに言う朔夜に、私も名残惜しく思いながら「いってらっしゃい」と声をかけた。



その背中を見送りながら、一瞬不安が心を過(よ)ぎる。

朔夜が私の側から居なくなるような、そんな不安が。


でも、それは本当に一瞬のことで、きっと気のせいなんだと思う。

寂しいからそんな風に不安になるだけなんだ。


私はその寂しさを紛らわせるために、ベッドに残る朔夜のぬくもりを感じた……。







でも……。



その日、朔夜がマンションに帰ってくることはなかった……。