「少し血流を狂わせてやった。これで暫く動けないだろう」


血流を狂わせた?


そんなことをしたら、人間だったら死にかねない。

でも朔夜は嘘を言っている様には見えないし、そんな必要も無い。


吸血鬼なら大丈夫だと言うことかもしれない。


それにしたって、何の道具もなく他人の血流を狂わせるなんて普通の吸血鬼にだって出来ない。

出来るということは普通ではないという事だ。



やっぱり、タダ者じゃないんだ……。


警戒心を更に強めた私に、朔夜は無駄だと言わんばかりに美しく微笑む。