「やっぱりこの辺にはいなそうだな。帰るぞ」

声と共に朔夜の気配がした。


私はその方向を向き、朔夜の姿を確認する。



そして、息を飲んだ……。




木陰から現れた朔夜は、いつも以上に美しい。


元から目鼻立ちははっきりしているけれど、今はそこに繊細な美しさも加わっている。

それに長いまつ毛に縁取られたアイスブルーの瞳が色を濃くしているように見えた。

いつも以上に、強い印象を植え付ける様な……。



朔夜は私の異変に気付かず、そのまま近付いてくる。