「んっ……はぁ…」


てしっ…。

「……」

てしっ…。

「……」


いつのまにか朔夜の手から逃れたツクヨミが、今度は私にも肉球パンチを喰らわせてくれた。


私と朔夜は、何とも言えず黙り込む。


やがて朔夜がツクヨミの首根っこをガシッと掴み、ベッドルームの外に持っていった。

そしてドアを閉め戻ってくる。


ドアの向こうからは恨めしそうな鳴き声が聞こえている。


「とりあえず、あいつはベッドルーム立ち入り禁止だ」

「フフ……そうだね」


少なくとも今だけは。


そして私達は、今度こそ思う存分触れ合った。




こうして、この部屋の住人……ううん、住猫が増えました。


≪番外編 ~月を拾う者~【完】≫