気が付くと、私は朔夜の腕の中にいた。
朔夜は自分の胸に顔を埋めた私の頭を優しく撫でている。
幸せで……とても幸せで……。
このひとときがどんなに続いて欲しいと思ったことか。
でも、そんな訳にはいかないから。
だから、今だけ。出来る限り長く、このままで……――。
……。
しばらくして、朔夜が動いた。
身体を反転して、また私に覆い被さるような格好になる。
私は、少し離れてしまった朔夜の体温を名残惜しく思いながら、彼の真剣な眼差しを受けた。
「朔夜……?」
朔夜の意図が読み取れず、問う。
すると朔夜は何も言わず、私の首筋に顔を埋めた。
え?