「望!?」


呼び止める朔夜の声もちゃんと聞いてはいなかった。


十六夜の手がかりはもうあの男しかいない。

絶対に捕まえて聞き出さないと!


私の頭の中はその考えしか無かった。


脇目も振らず男を追う。

他の通行人もいるせいで、なかなか男の元にたどり着けない。


走って走って、人通りが無くなってきたと思った時。

気付くとそこは廃ビルの中で、回りに人の姿は全くない。



そのときになって私はやっと気付いた。

敵の狙いは、私と朔夜を引き離すことだということに。