魔法使い相談所




この人に何かを訴えかけることを早々に諦めたあたしは、聞くことに徹することにした。


「材料は、なんでもいい」

「…なんでも?」

「日光、風、重力。自然界にあるものならなんでも」


ふんふん、と頷きながら頭の中で整理する。

…お伽噺の中の魔法使いみたく簡単にポンッと出せればいいのに。


……というか、あたしは疑問に思うことがある。


「あの」

「あ?」

「柄悪っ、じゃなくて、なんで魔法のこと教えてくれるんですか?」


疑問をぶつけると、志藤さんもアゴに扇子をあてて思案し出す。

窓に当たる雨の音と、コツンと硬い何かが当たる音がする。


ふと、窓に目を向ける。


「………」


外にいるカラスと目があった。

カラスも雨宿りしているんだろうと、たいして気にもとめず、視線を志藤さんに移す。