『なんだ翼か』




あたしは慌てて手の甲で涙を拭く。




まさか……ね。




「なんだとは随分だな」



翼は自転車を土手の上に倒すと、あたしの隣にやって来た。



腰を下ろし、足を投げ出す。




「ふわ~っ。風が気持ちーなあー」