「そこのカワイコちゃん!」




そんなとき、そんなあたしの思考を遮断したのはそんな軽い声。




あの時も、こんな風に後ろから声掛けられたっけ。



内容はともかく、あたしは反射的に振り返ってしまう。




「あ、カワイコちゃんで振り返ったし…って、あ」




振り向いた先にいたのは自転車に跨ったままの翼。



あたしの涙に気付いたのか、最後に言葉を短く切った。