本格的に梅雨に入った6月下旬。



今日は朝から土砂降り。



小雨なら自転車で行ってしまうけど、こんな日は30分かけて歩いて通学する。



傘なんて大して役に立たずに、全身びしょ濡れ状態で家へ帰ると、玄関に男ものの靴があった。



それと横に並んだ母の赤いパンプス。





――お父さん……?





そんなことが頭をよぎったけど、そんなことあるわけない。



玄関に滴り落ちる滴が溜まって行くのを見つめながら、家の中の気配を感じた。




外の雨音のせいで部屋の中の音を聞くのは困難。



じっと耳を済ませる。