フウッ、と深呼吸して、静かーに教室のドアをガラガラッと開ける。 幸い、皆おしゃべりに夢中で、私が教室に入った事には気づかなかったみたいだ。 ホッとして自分の席に着く。 頬杖をつきながら、窓の外を見ると、この高校の自慢の大きな桜の木が目に入ってきた。 爽やかな心地良い春の風が吹いてきて、桜のピンク色の花びらが数枚ひらひらと、下へ舞い降りていった。