―…むかつくの。 何も、考えていないように見えるけど、きっと彼は彼なりの考えを持っていて。 それを決して、曲げないところが。 『……っ、』 聞いてよ。 “何があったんだ?”って。 そしたらあたし、完璧なしなを作るから。 お母さんを悪者にすることだって、簡単にしてみせるから。 哀れんで、同情して、優しくして。 そしたらあたし、悲劇のヒロインになることができるのに。