自分の中の一番繊細な場所を、誰かに触れられるのが大嫌いだった。 「紅茶とコーヒー、どっちがいい?」 『あ、紅茶でお願いします。』 テレビの前のソファーの上に、ちょこんと正座をするあたし。 初めて、入った先生の家。 それは1人暮らしにしては、大きすぎて。 でも、大きさのわりには、物が少なくて。 必要最低限だけで備えられた黒が基調の家具たちは、なんだか殺風景な印象を覚えた。