「俺はいくら裏切られても、自分が一生懸命やったことを笑われても、
大切な人を信じるのをやめたくない。
俺は…、大切な人を当たり前のように、大切にできる人でありたいんだ。」
先生は泣いていた。
声を上げるわけでもなく、がむしゃらに涙を流すわけではなく、堪えきれなかった涙を静かに流していた。
『先生…。』
先生泣かないで、って。
そう言ってあげたくなる。
先生は笑顔でいてほしい、って。
そう思う。
「愛奈、苦しいけど、向き合うのをやめてはだめなんだよ。
相手がどんな人かわからないけど、優しい自分でありたいなら、そうあるべきなんだ。」
『……。』
「怖いけど、信じるしかない。
それで嫌な思いをさせられたら、それはしょうがない。
全員を大切にする必要はない。
それでしっかりと向き合ってくれた人を大切にすれば、それでいいんだよ。」


