あの時の世界は、確かに完璧だった。 全て作り物だったけど、あたしの居場所は凛と輝いていて。 …いつ、手遅れになってしまっていたんだろう。 本当はすでに、自らを泥の中に落としていたのに。 『おはよー!』 意を決して、教室の扉を開けた。 まだ完璧な世界。 崩れ落ちる、直前。 1オクターブ高めの声を出したあたしには、まだ居場所があると思っていた。 『……あれ?』 ーーすでに、世界は変わっていたの。