お母さんは、泣いていた。 私の目をジッと見ながら、ポツリポツリと、涙を流して。 お母さんの目は、私を愛おしそうに見ていた。 「あのね、愛奈、聞いてほしいの。」 『……。』 「私の心が弱かったから、愛奈を不安にさせちゃったけど、愛奈が邪魔だなんてお母さん、思ったこと一度もない。」 ずっと嘘だらけだと思っていた、お母さんの言葉。 「お母さん、愛奈を産んでよかったと思ってる。 お母さん、愛奈を愛しているのよ。」 この時のお母さんの言葉は、宝もののようにきこえたんだ。