"お父さん"




その単語を聞いても、私は彼との思い出をほとんど思い出せない。



お父さんは、私に関心を示さなくて。



私がテストでいい点数を取ったって、褒めてくれなかった。
私がテストで悪い点数を取ったって、叱ってくれなかった。



いくら通知表でいい評価をもらったって、いくら周りから「出来たお子さんですね」って言われたって、お父さんは何も言ってくれなかったの。




お父さんは、私のことなんて自分の子だと思っていないみたいだった。




「……愛奈、おかえり。」



先生の家を出て。




その向かい側の自分の家に戻ったら、オカアサンが控えめにリビングから迎え出てきた。